「卵子提供は身内から受けることはできるの?」
「卵子提供を身内から受けるメリットやデメリットは?」

という疑問をお持ちの人もいるのではないでしょうか?

本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を

・卵子提供は誰から受けることができるのか
・身内から卵子提供を受けるメリットとデメリット
・身内から卵子提供を受ける際の注意ポイント

の順番に解説していきます。

卵子提供を身内から受けることを検討している人には役立つ記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、卵子提供の治療内容や適用条件、メリットやデメリットなど、卵子提供について詳しく知りたい人は、下記記事を参考にしてください。

関連記事:卵子提供プログラム

卵子提供は誰から受ける?

卵子提供を受ける方法は、「身内や知人から受ける方法」と「匿名の卵子ドナーから受ける方法」の大きく分けて2つです。

身内や知人から受ける

JISART認定施設で卵子提供を受ける場合は、自分で卵子提供者を見つけなければなりません。

日本生殖医学会「第三者配偶子を用いる生殖医療についての提言」では、卵子提供者は「35歳未満の身体的、精神的に健康な成人であることを要し、原則として被提供者に対して匿名の第三者を優先する」とされています。

参考:倫理委員会報告「第三者配偶子を用いる生殖医療についての提言」

しかし、自分で卵子提供者を見つける場合は、匿名の卵子提供者を見つけることは困難なため、ドナーは身内や知人となる場合がほとんどです。

なお、卵子提供エージェントで卵子提供を受ける場合も、ドナーとして身内を選定することが可能です。

匿名の卵子ドナーから受ける

卵子提供エージェントで卵子提供を受ける場合は、匿名の卵子ドナーから選ぶことができます。

卵子提供エージェントが所持している卵子ドナーの情報を集めたファイルやデータベースを参照し、条件に合う卵子ドナーを選定します。

身内や知人と自ら交渉するのに比べ、卵子提供エージェントを介して卵子ドナーに依頼する方が、負担は少ないと言えるでしょう。

卵子提供エージェントのメディブリッジでは、世界最大級の日本人卵子バンクを運営しており、卵子バンクに累計1,500名、ドナーファイルには常時約400名の日本人ドナーが登録されています。

メディブリッジでは、ご夫婦のご希望に合うドナーを早期にご紹介できます。

知人(身内を含む)から卵子提供を受けるメリットは?

身内から卵子提供を受けるメリットについて3つ紹介します。

容姿が似ている(家族の一員にドナーを依頼する場合)

知人のうちでも家族の一員にドナーを依頼する場合、同じ遺伝子系からの提供を受ければ、家族の遺伝情報を引き継ぐことができます。

家族の遺伝情報の継承が重要なご家族にとっては、大きなメリットです。

顔立ちや体格、その他の遺伝的な特徴が家族と似る可能性が高く、心理的な安心感を得やすい点もメリットとして挙げられます。

子どもが成長した際に家族としての一体感を感じやすい点は、家族全体の関係性をより良好にする要素とも言えるでしょう。

卵子提供者が確実にわかる

知人や身内から卵子提供を受けると、卵子提供者の詳細な状況を把握できることもメリットと言えるでしょう。

第三者から卵子提供を受けた場合、遺伝上重要な要素は確認、告知がされるものの、提供者の細かい特徴まで知ることは困難な場合があります。

身内からの卵子提供であれば、提供者の健康状態、生活習慣、家族歴等を後々にも確認することが容易である事は、病気の症状などの予測不能な事態に遭遇した際などに大きなメリットとなると考えられます。

また出生したお子さんは自分のドナーを知りたいと思う事が多いという研究結果もあります。

知人や家族にドナーをお願いした場合、子供はアイデンティティーの喪失に見舞われる事無く、自分の出自や遺伝について理解できる機会に恵まれやすいと言えます。

提供者探し心身の負担軽減

全く知らない人々の中から希望に合う人を選ぶ事は、時間的にも心理的にも大きな負担です。

知人や身内に依頼する事で、それらの負担を軽減出来る事は、大きなメリットといえるでしょう。

また知人、身内であれば、提供の時期などを直接相談しながら進められますので、治療スケジュールの短縮に繋がる可能性もあります。

とはいえ、匿名の卵子ドナーの場合でも、卵子提供エージェントを利用すれば、提供者探しのサポートを受けられるため、ドナー探しのご負担を抑えてスムーズに卵子提供を進められます。

知人や身内から卵子提供を受けるデメリットは?

続いて、身内から卵子提供を受けたときに考えられる問題点やデメリットについて説明します。

将来の親子関係が複雑になる可能性がある

知人や身内から卵子提供を受けると、未来の親子関係が複雑になる可能性があります。

卵子提供を受けて生まれた子供は、自分がそうであることを知った時、自分のアイデンティティについて悩むことがあります。

卵子提供を受けた人が身近にいる知人や親戚であった場合に、卵子提供者と自分の関係をどう考えれば良いのか、母親のことをどう思えば良いのかと悩み、複雑な気持ちを抱くこともあるでしょう。

また卵子提供者が、出生した子に対して、親に似た感情を持ってしまう可能性があります。

ドナー自身が不妊の問題を抱えるようになった場合に特に懸念される心理です。

また子供に何をどのように伝えるかに留まらず、子の身分などについて、将来的に紛争が発生する可能性があります。

法的契約を結んだとしても、将来紛争が発生しないという保証はありません。

参考:代理懐胎で生まれた子どもの福祉

提供を依頼された時のプレッシャー

卵子提供を受ける側と提供する側の間に、プレッシャーや期待が生じやすいことも問題とされています。

卵子提供をしてほしいと頼まれた時、知人や身内であれば、提供を断っては申し訳ないと言う気持ちが働き、提供に迷いがあっても提供を承諾することも起こり得ます。

また、気が変わって断ったり、取りやめたりした場合に罪悪感を覚えたりすることがあります。提供したことを後悔し、家族に緊張や不安が生じることがあるかもしれません。

知人や身内から卵子提供を受けることに向いている人

ここまで、知人や身内から卵子提供を受けるメリットとデメリットを紹介しました。

続いて知人や身内から卵子提供を受けることに向いている人の特徴を3つ紹介します。

遺伝的なつながりを重要視する人

遺伝的なつながりを重要視する人は、身内からの卵子提供に向いています。

卵子提供を受ける場合、母方の遺伝情報は基本的に卵子ドナーの物になります。

つまりは例えば妻側の姉妹等の身内から卵子提供を受ければ、妻の家系の遺伝情報を受け継いだ卵子になり、妻方の家系の遺伝的つながりが保たれることになります。

妻の家系の遺伝子を子供に引き継ぎたいという気持ちが強い人は、妻の姉妹等の身内から卵子の提供を受けることを検討すると良いでしょう。

提供者としての役割を理解し納得できる人

知人や身内へ提供依頼は、提供者、被提供者ともそれぞれが自身の役割と義務を理解し、割り切れる方々に向いています。

たとえ身内であっても、提供者と親の役割を混同してはいけないからです。

例えば妻の妹が卵子を提供する場合、彼女は将来の子供の叔母であり、遺伝的な繋がりがあったとしても、決して母親ではありません。

匿名の第三者からの提供を受ける場合以上に、親である自分の役割と義務と提供者でしかないドナーとの違いをはっきりと、当然の事として受け入れる事ができる方は、知人や身内からの提供を受けるのに向いていると言えるでしょう。

知人や身内から卵子提供を受ける際のポイント

身内から卵子提供を受ける際、気をつけておきたいポイントを解説します。

インフォームドコンセントが十分に得られていること

提供者から十分なインフォームドコンセントを得られている事が大切です。

提供を依頼する際には相手への敬意を払い、断り易いよう配慮することが肝要です。

例えば以下のような対策がとられていれば、依頼される側は安心して説明を聞けるのではないでしょうか。

・依頼をする場に、依頼相手が望む第三者等の同席が可能である事を予め伝える(配偶者やパートナーがいる場合にはむしろ積極的に同席を促してください)。
・ドナーはあくまでも提供者に過ぎず、親ではない。子が出生した子の養育義務や親権等の責任を伴うものでない事を伝える。
・他方、現在は出生した子は出自を知る権利が保障されなければならないという考え方が趨勢であり、提供者の情報は開示される。
・医学的なスクリーニングが必要である事、場合によっては心理的スクリーニングもある事を伝える。
・スクリーニングでは、提供をした場合に彼女に生じうる、現在および将来に渡る、医学的、身体的、心理的影響について医師、専門家から説明を受ける機会が得られる事を伝える。
・スクリーニングの結果、提供者となる事が難しいという判定を受ける場合が有る事と併せ、医師、専門家からの説明の結果、提供予定者が提供の意思を撤回する事も可能である事も明確に伝える。※スクリーニングの結果協力が不可となった場合にはどうするかなども予め決めておくと良いでしょう。
・依頼したその場での決断は求めない。一通りの説明と依頼、質問等が終ったら、回答をもらいたい期限を伝えて一旦その場は終了する。
・依頼された方が十分に検討できるよう配慮して回答期限を設定する。
・回答期限までに承諾の連絡がない場合には不承諾だと理解するので、敢えて断りの連絡を頂かなくても差し支えない旨を伝えておく

注意しなければならないのは、依頼する知人や身内を「私が提供しなければならない」「私しか救えない」という心理に追い込んではならないという事です。

提供者が罪悪感や義務感からではなく協力を承諾し、提供者、被提供者の双方が役割に徹する事ができるなら、知人、身内間の卵子提供が将来に渡って、良い形で実を結ぶのではないでしょうか。

参考:卵子ドナーの保護と権利について

将来の子供に対する説明を考える

日本では、卵子提供など第三者が関わる生殖医療について、法整備を進めている途上です。

今年国会に提出予定の生殖補助医療に関する法案は、子供が遺伝上の親の情報を知る「出自を知る権利」に重点が置かれています。

しかし、告知の方法・告知を受けたときの状況によっては、お子様が身内からの卵子提供によって出生したという事実を前向きに受け止められない可能性があります。

卵子提供を受けて生まれる子供に対し、適切な時期と方法でその出産の背景を説明する計画を立てることが大切です。

お子様への卵子提供の告知に正解はありませんが、お子様がご自身の出生に関する情報を健全な形で理解できるように支援することが大切です。

参考:「出自を知る権利」重視 生殖法案、来年国会提出へ – 日本経済新聞

卵子提供エージェンシーのカウンセリングを利用する

卵子提供を実際に受けたあとのことを想像するのは難しいかと思います。

メディブリッジは、1,000組以上のご夫婦がお子様を授かるサポートをしており、身内の方からの卵子提供についても実施実績があります。

実際に卵子提供をお手伝いしながらお話を伺ってきた経験から、ご家族のこと、お子様へのご説明についてもクライアント様それぞれのご事情を考慮してアドバイスさせていただきます。

―年に一度当事者会を開いており、卵子提供というなかなか人に話しづらい事柄ですので、少しでも横の繋がりを作れるよう活動しております。

卵子提供については、インターネットなどの情報も限られており、身内の方からの卵子提供を検討されているご夫婦におかれましては、ご不安な点もあるかと思います。

メディブリッジでは、年に一度、卵子提供者やそのご家族が集まる当時社会を開催しており、卵子提供という話づらいテーマについて、少しでも横の繋がりを作れる場を提供しております。

まずはメディブリッジにご相談いただければ幸いです。

卵子提供を身内で行う際の流れ

卵子提供を身内で行う場合は、依頼者ご夫婦自身で卵子提供をしてくれる人を探す必要があります。

まず、身内で卵子提供者の条件を満たす人に、ご夫婦から依頼をしていただきます。

卵子提供者の了解を得られたら、医療機関での面談を行います。

JISART認定施設での卵子提供の場合は、医療機関で施設長と面談し、施設長が卵子提供を治療可能と判断したら、臨床心理士のカウンセリングが行われます。

臨床心理士のカウンセリングを経て、夫婦で卵子提供をするかどうかを最終的に決定します。

医師及び臨床心理士が卵子提供治療を行えると判断したら、施設内倫理委員会が審議のために卵子提供者及び依頼者夫婦にヒアリングを行います。

施設内倫理委員会に承認を受けたのち、JISART倫理委員会が書類審査を行い、卵子提供が可能となります。

参考:ガイドライン | JISART(日本生殖補助医療標準化機関)

【弊社メディブリッジの場合】

弊社ドナーさんと同様に動いていただくことになります。大まかなスケジュールは以下になります。

①国内医療機関でのスクリーニング
➁海外への渡航
③海外クリニックでの初診
④卵巣誘発の開始
⑤採卵
⑥帰国

弊社のドナーさんには「休業補償金」をお渡ししておりますが、身内の卵子提供の場合は、ご本人同士にお任せしております。

まとめ

本記事では、身内から卵子提供を受けるという方法について、メリット・デメリット、どんな方が身内からの卵子提供に向いているか、身内から卵子提供を受ける際のポイントを解説しました。

身内からの卵子提供は、提供者の詳細がわかる安心感、子供との遺伝的なつながり、家系の血筋を引き継ぐという観点でメリットがある一方で、卵子提供後の対応次第で関係者や子供の気持ちや関係性にわだかまりが生じてしまうリスクもあると言えます。

メディブリッジでは、さまざまなご夫婦の卵子提供をお手伝いしてまいりました。

―将来の関係性を考え、弊社ではオススメしておりませんが、親族間での卵子提供も勿論可能でございます。

卵子提供について、悩みや懸念点、疑問点をお持ちの場合は、ぜひメディブリッジにご相談ください。