やっと妊娠できたと思っても、油断できないのが流産ですが、確率は想像以上に高く防げないことも少なくありません。
「流産」とは妊娠22週未満で妊娠が継続できなくなることを指しますが、特にその多くを占める妊娠12週までに起こるケースが多く見られます。
流産は、すでに赤ちゃんとの生活を思い描いてきた人にはとてもつらい体験ですが、実は、流産率は平均15%にも上るといわれ、その多くは受精卵に異常がある自然淘汰によるものだと考えられています。
また、実際、もっとも流産しやすいのは、自覚する前、妊娠に気が付く前にも多くの受精卵が淘汰されています。
普段より月経が少し遅れて、重い生理があった経験を思い出すかたもいるのではないでしょうか。
もしかしたら、それは極めて早い時期の流産だったかもしれません。
一般に、卵子の染色体異常は年齢が上がるにつれて、その割合は高くなります。
そして、染色体異常を持つ受精卵は自然淘汰され、着床前には25%、さらに妊娠初期の時点では10%にまで減少し、新生児として誕生するときには染色体異常はわずか0.6%に減少しています。
では、どのような流産のタイプがあるのでしょうか。
- 稽留流産
胎児が子宮の中で死んでしまっているのに、子宮の中にとどまっている状態 - 進行流産
今まさに流産が進行している状態で、わずか数分で流れてしまうことがあり、痛みや出血があり残念ながら止める術はない - 完全流産
出血を伴った進行流産後に、胎児や組織が完全に子宮外に流れてしまう状態 - 不完全流産
流産したのに子宮内に残存物が残ってしまった状態 - 早期流産
受精卵が着床したものの、妊娠12週未満で流れてしまう流産を早期流産、または初期流産という - 後期流産
妊娠12週以降22週未満の流産を後期流産といい、中期以降の流産を経験した人は不育症の疑いがあるので検査をお勧めします
その他に、切迫流産(流産しかかっており危険な状態)や化学流産(着床直後に流れてしまうこと)などは妊娠反応という化学反応でしか妊娠が確認できず、臨床的には「流産」とは異なります。
流産は出血や痛みを伴ったり、手術などが必要なこともあり、精神的にも肉体的にもダメージを受け、自分を責めてしまいがちですが、自然淘汰による流産はよくあることなので、あまり深刻に悩みすぎないように心掛けましょう。
しかし、妊娠初期流産を3回以上繰り返した場合や、妊娠中期以降に子宮内で胎児が死亡してしまうことが一度でもあった場合は、早いうちに検査や治療をすることお勧め致します。