妊娠に至るには、精子と卵子出会い、精子が卵子に入り込んで受精卵になるところからスタートします。
受精卵はその後、細胞分裂を繰り返しながら卵管を通って、子宮内膜へと定着します。
この定着のことを着床と呼んでいます。
しかし、子宮になんらかの異常や問題がある場合、受精卵が最終的に着床できないことがあります。
このようなケースを、「着床障害」と呼びます。
では、着床を妨げる原因にはどんなものがあるのでしょうか。
その原因を掘り下げると、
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮奇形
- 黄体機能不全
- 子宮内膜癒着
などがあげられます。
着床障害を招く要因の一つ一つがどんなものなのか、ここで見てみましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮の内側に発生する良性の腫瘍です。
発生する部位や症状がそれぞれ異なり、筋肉の中にできる筋層内筋腫、子宮の外側に向ってできる漿膜下筋腫、子宮内膜のほうに飛び出してくる粘膜下筋腫などがあります。
筋層内筋腫や漿膜内筋腫で、子宮内膜を圧迫しない程度の大きさや、着床の妨げにならない場所のものもあります。
筋腫による不妊の主な原因は、子宮と卵管のつなぎめである卵管間質部に筋腫ができて受精卵の輸送障害を起こすことです。
また、筋腫の種類が粘膜下筋腫や筋層内筋腫の場合は、子宮腔内が変形して、着床障害を起こすことがあります。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は子宮内膜症の一種です。
子宮内膜組織が筋層の中に入り込み、月経が繰り返されることで、その部分の内膜が増殖を繰り返します。
子宮内膜ポリープ
増殖した子宮内膜の一部がポリープ状になったものをいいます。
できる部位や大きさ、数によっては着床の妨げとなる場合もあります。
子宮奇形
子宮奇形の主なものは重複子宮、単角子宮、単頸双角子宮、双子角子宮、双頸双角子宮、中融子宮、弓状子宮などです。
子宮は、胎児期の早期にミュラー管という子宮の元となる器官が左右から融合して出来上がります。
その融合が途中の段階で止まるのが子宮奇形の原因です。
子宮奇形の場合は、子宮内膜の状態が整っていないことが多く、そのため着床障害が起こります。
また、着床しても子宮が大きくなりにくく、流産しやすいなどの問題もあります。
黄体機能不全
黄体からの卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌不全により、子宮内膜の分泌変化が完全に起こらない状態のことをいいます。
黄体ホルモンは着床を促すだけではなく、妊娠継続にも必要なホルモンであり、足りない場合は、機能性子宮出血の原因にもつながります。
基礎体温の校長気が10日未満の場合は、黄体機能不全が疑われます。
子宮内膜癒着
子宮内膜で癒着が起こることを言います。
流産の際、掻爬や人工妊娠中絶、帝王切開による傷や内膜の炎症による傷が子宮内膜癒着を引き起こし、着床障害になる場合があります。
正常な夫婦生活があっても妊娠しない場合、様々な原因が考えられます。
男性側に問題がなく、正常に排卵があるのに妊娠に至らない場合、まずは、卵巣・子宮の検査を受け、原因を特定する必要があります。
気になる場合には、まずは婦人科を受診されることをお勧めします。