ドナーになってみて
登録前の私は不妊治療の手助けになればいいなと思う気持ちだけでしたがいざ契約となると、自分の体の心配や責任の大きさに悩まされなかなか印鑑を押すことができませんでした。
しかし、契約をして現地に行ってみるとなんでも姉のように面倒をみてくれる現地スタッフのお姉さんが、様々なことを教えてくれました。
携帯電話を持たせられ、いつでも現地スタッフとお話しすることが可能です。
慣れない土地のことや、現地のオモシロ話など、採卵以外のことでもよく話をし本当に彼女とは一心同体のような心強さがありました。
病院には日本人の医療スタッフがおり、すべて細かなことまでケアしてまらえました。
清潔感のある高級クリニックのような施設で、医療面のサポートはほんとうに素晴らしいものでした。
待合室もとても高級感があり、セルフサービスのお茶やお菓子も完備されています。雑誌やパソコンも自由に使えます。
私の時は宿泊するホテルには私以外に10名弱のドナーさんがおられ、診察日には合流することもありますし、希望すれば現地のスタッフが紹介してくれます。
若い子か ら30歳以上の方までさまざまで、いろんな雰囲気の方をバランスよく渡タイさせておられるのか、自分の性格に合った方を見つけるのはとても簡単でした。
一緒に夕ご飯を食べに行ったりお買い物をしたり、診療のない日は観光にも行けますしみなさん自由にのびのびと生活しておられました。
とくに心強かったのが、もう数回目というドナーさんが本当に多かったことです。初めてだったのは2名くらいでした。
私は初めてのことで治療が怖いものだと思ってしまった時期がありましたが、そういった思いを正直に東京のスタッフさんにうちあけると、いろいろな体験談や元看護師からの医療の説明をしてくれました。
人一倍心配性で、 どうせ悪いことは言わないのだろうな(笑)と少しの不安を抱えたまま渡タイしてしまいましたが、自分が体験をしてみてはっきりわかりました。すべて真摯に答えてもらっていました。
契約に半年弱もかけ、躊躇していた自分に必要だったのは、体験者さんの生の声だと気づき私と同じ方がおられるなら少しでも決断のきっかけになればいいと、体験談を書くことにしました。
なかなか東京にいてもドナーさんの知り合いできませんし、決断するのは自分一人なので初めての方は悩まれると思います。私の体験談はそういった方に向けて発信している言葉なので、書いてある通り、不安なことがあれば正直にすべてスタッフさんにお話してみたください。
最後に、クリニックの待合室で不妊に悩まれているご夫婦が、真剣に希望を持って育児雑誌などを読まれているのを見て胸が痛くなりました。
移植日で処置室に向かった奥様の表情も忘れられません。
私たちにある元気な卵子は毎月の月経で廃棄されています。行ってみると海外旅行気分で楽しかったですが、それ以上にこういった体験を通してたくさんのことを学んだなぁと実感します。
なので、私がもし依頼する側だったら、絶対に譲れない点があります。
それは、同じ女性として本当に心から応援してあげれる人に応募してもらいたいということです。
私の卵子が悩んでおられるご夫婦の希望になるのならまたドナーとして貢献したいという気持ちでいっぱいです。