タイでのドナー体験
私が卵子ドナーに興味をもったきっかけは、ドナーや代理出産などについてのドキュメンタリーを見たこと、そして親戚夫婦が何年間もの不妊治療の結果子供を泣く泣くあきらめたということがあり、不妊のつらさや大変さを耳にしていたことです。 そういったことから、機会があれば是非私もドナーの協力したいと考えていましたが、日本の場合、実際にどこでどのように協力できるのか分からず、そのままになっていました。
それから何年も経ち、ふとインターネットで卵子提供について検索していたところ、メディブリッジのホームページに行きつき、すぐに登録しました。
数か月後、コーディネーターの方から卵子を希望する方がいらっしゃるという連絡をいただきました。
しかし、いざ自分が提供するとなると、自分の遺伝子をもった子供が自分の知らないところで生まれるということ、そして私がドナーという責任を果たすということについて色々と考えました。
悩んだ挙句、こうした機会はドナーに適した年齢で、さらにまとまった休みの取りやすい学生である今だろうと思い、タイでの卵子提供を決めました。
それから病院で血液検査を行い、タイでの滞在に生理のタイミングが合うようにピルを飲みました。
そして準備を整え、タイへ。
空港まで迎えに来てくれた現地スタッフの方はとてもおもしろく優しい方で、緊張は吹き飛びました。
滞在先のホテルはとても清潔で快適だったので、居心地が良すぎて帰国するときも「まだいたい!」と思ったほどです。
タイで生理が始まってからはクリニックで診断などをして、注射を渡されました。
採卵日前日まで毎日自分でお腹に注射をするのですが、初日は緊張しつつも思い切って打ってしまえば意外に痛くなく、平気だったので逆にびっくりしました。
注射は朝だけで、それが終わればクリニックへいく日以外はフリーだったので、買い物などをしてタイでの滞在を楽しみました。
その一方で、注射によってお腹が張るなどの症状が出たため、水や食事の量に気を付けるようにしていました。
また、私は生理不順で産婦人科に通っていたこともあり、ちゃんと卵が育つのか不安だったのですが、注射開始から数日後、超音波検査をしたところ予想以上に卵が育っているということで安心しました。
そして採卵当日。待っている時間、緊張していたのですが、現地スタッフの方がずっと私の身体に手を添えてくれ、ドクターもきさくに話しかけてくれたのでとても落ち着きました。
そして知らないうちに麻酔で眠ってしまい、目が覚めた時には採卵が終わったのか終わってないかもわからないくらいでした。
こうして、ちょうど2週間のタイでの滞在が終わり、帰国しました。
排卵後は数日間お腹の張りや下腹部の痛みがあったので、いただいたお薬をのんでなるべく安静にしていましたが、徐々に体調も良くなり、元通りの生活ができるようになりました。
ドナーが決まってから約4か月間、そして帰国後もメディブリッジのコーディネーターの方に大変お世話になりました。
そしてタイでは現地スタッフの方はもちろん、ドクター、看護師さんなど多くの方々にお世話になり、本当に貴重な体験をさせていただきました。
ドナーとなることは、不妊に悩む方の力となるだけでなく、自分の身体のことや不妊治療のことを知る良いきっかけにもなると思います。
卵子ドナーという素晴らしい機会を提供していただき、本当にありがとうございました。
依頼者の方が無事に元気なお子さんを産むことができることを願っています。