ゲノム編集
こんにちは。今日の東京は快晴。初夏が感じられる気温で過ごしやすい一日になりそうです。
昨年の秋ごろ、中国においてゲノム編集を経て赤ちゃんが生まれています。この赤ちゃんの父親はHIVに罹患していて、生まれてくる子にHIV耐性を持たせるためにゲノム編集を決断したそうですが、人の受精卵をゲノム編集して挙児にいたった初めての事案であったので、研究者への激しい非難が起きました。
ゲノム編集では、ゲノムの特定部位で外因性の遺伝子を追加・挿入、遺伝子変異を修正、削除します。つまり、異常がある遺伝子や標的とした遺伝子を修復したり排除、標的とした遺伝子や導入された遺伝子の発現を制御したりします。
中国では人の受精卵のゲノム編集は明確に禁止されていませんでしたが、今回の研究は中国の法、規則、倫理的基準を深刻に違反していると中国政府は指摘して研究中止を命じています。
中国と同様に、日本でもゲノム編集に関する法規制はないのですが、このたび、日本政府は法整備の審議を開始したと昨日報道がありました。
“遺伝子を効率良く改変する「ゲノム編集」技術を人の受精卵に使い、子宮に戻したり子どもを誕生させたりすることについて、政府の生命倫理専門調査会部会は15日、法規制を検討する必要があるとの見解を大筋でまとめた。22日の調査会を経て、厚生労働省を中心に具体的な検討を始め、今秋ごろ報告をまとめる。
政府は今月施行の指針で、不妊治療に関する基礎研究に限って受精卵のゲノム編集を容認。現在の技術では生まれる子に健康上の問題が生じる恐れなどがあるとして、子宮に戻すことは禁じているものの、法律の議論は進んでいなかった。中国の研究者が昨秋、受精卵にゲノム編集を行って双子を誕生させ、国際的な批判が強まって世界保健機関(WHO)が国際ルールの検討を始めたことから、法規制に傾いた。” https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041500539&g=soc
中国で挙児にいたったケースは、ゲノム編集した受精卵の移植を経て無事出産に至っています。しかし、理論上やデータ上は正しくとも、技術は100%ではなく、試行錯誤を経なければならないはず。
まして生まれてきた子供が編集した通りの耐性を備えているかは、子供が大きくならないとわからないはずです。
試みが失敗した時、農作物等であればその失敗さえ貴重なデータであり、次に生かすと考えれば済みますが、赤ちゃんだとしたら…。
生まれてきた子供のことを考えると、最低限、社会的に納得・許容できる環境とルールを整えたうえで、技術開発の研究を進める必要があるのではないかと思うのです。
まして生まれてきた子供が編集した通りの耐性を備えているかは、子供が大きくならないとわからないはずです。
試みが失敗した時、農作物等であればその失敗さえ貴重なデータであり、次に生かすと考えれば済みますが、赤ちゃんだとしたら…。
生まれてきた子供のことを考えると、最低限、社会的に納得・許容できる環境とルールを整えたうえで、技術開発の研究を進める必要があるのではないかと思うのです。
このような報道や、デザイナーズベイビーなどという呼び方で、ご夫妻が理想とする容姿、学歴などを追及するかの如き卵子提供があるという情報に触れると、ふと、弊社メディブリッジの卵子提供プログラムの将来について考えてしまいます。
メディブリッジの卵子提供プログラムでは、レシピアントご夫妻の依頼によって、ご夫妻の為にお一人のドナーの方が海外に15~16日滞在し、毎日自己注射をしながら採卵に臨んでくださいます。ドナーの方とご夫妻はお顔を合わせる事も、お話をすることもありません。お互いにお名前も連絡先も知らされていないのです。
それでも、ご夫妻はドナーの方の体を心配され、ドナーの方はご夫妻の為にと、食事に気を遣い、ご夫妻の幸せを祈るのです。我々を介して、ずっと、メールはお手紙のやり取りをしておられる方々もおられます。
ドナーの方は命と心の両方を、ご夫妻にもたらしていると感じます。
ご夫妻は命と心を受け取って、ドナーの方の気持の分も、生まれたお子さんへの愛情を注いでいるように見受けられます。
卵子提供の世界にゲノム編集が入り込んできたら、ドナーの方々は遺伝子ドナーとなってしまうのでしょうか? そう想像すると、少し恐ろしく、とても虚しいです。
私たちは 心を贈るプログラムを続けていきたいです。
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