着床障害の原因について
こんにちは
台風も過ぎ去り今朝から青空が広がっていますね。
10月も後半に入り、本格的な紅葉のシーズンが近づいてきました。
さて、本日は着床障害の原因をいくつかお話をしたいと思います。
卵管内で精子と結合した卵子(受精卵)は細胞分裂を繰り返しながら子宮内膜の中にもぐり込んで根を張ります。
これを着床といいますが、子宮になんらかのトラブルがあると、受精卵が着床できず、妊娠は成立しません。
着床障害の多くは、超音波検査や子宮鏡検査、ホルモン検査などで診断されます。
子宮内に障害があると、着床しづらいだけでなく、胎児の成長を妨げたり、流産の原因となったりするので早めの治療が必要です。
治療には、薬によるホルモン治療と手術の2種類があり、それぞれ症状にあわせておこなわれます。
子宮筋腫
子宮はやわらかな筋肉の層からできています。
子宮筋腫は子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍で、40歳前後の女性の約30%の人にあるといわれています。
自覚症状はほとんどありませんが、筋腫が大きい場合、月経量が増え、貧血になることがあります。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の内膜組織が子宮の筋層で増殖・出血を繰り返す子宮内膜症の1種です。
本来は子宮の内側に増殖すべき子宮内膜が、子宮の筋層に入り込んで増殖・出血するので、子宮の筋肉がかたく腫れあがってしまいます。
自覚症状としては強い月経痛や月経過多などがあります。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の一部がポリープ(いぼ)状に増殖した良性の腫瘍です。
ポリープの大きさは、豆粒大のものから親指大ぐらいまであり、ポリープが発生して子宮を占拠してしまうと、受精卵が着床しづらくなります。
自覚症状としては、月経期前後の不正出血があります。
治療は比較的簡単で、子宮鏡検査で発見することができ、その場で切除もできます。
子宮奇形
通常の子宮は西洋なしのような形をしていて、鶏の卵大の大きさがあります。
しかし、子宮鏡検査や子宮卵管造影検査で、子宮が生まれつき変わった形をしているのが見つかることがあります。
奇形の程度が軽い場合には、普通に妊娠・分娩できる人も少なくありません。
ただし、形や程度によっては、受精卵が着床しづらかったり流産の原因となったりします。
また、奇形の種類や流産歴、不妊期間などの長さを考慮して、子宮の形を整える子宮形成術を行うこともあります。
子宮内膜癒着
子宮内膜癒着とは、子宮内膜が癒着して閉鎖し、受精卵が着床しづらくなった状態です。
癒着が起こる原因は、子宮内の炎症や流産などの手術で、子宮内部が傷ついた場合などが考えられます。
自覚症状には、月経の量が極端に少なくなったり、月経期間が短くなったりすることがあります。
治療では子宮鏡を使って癒着をはがす癒着剥離手術を行います。
黄体機能不全
黄体ホルモンとは、排卵後に卵巣から分泌されるホルモンで、子宮内膜の成熟をうながして、受精卵を着床させやすくします。
この黄体ホルモンの分泌の働きが悪くなることを黄体機能不全といいます。
黄体ホルモンが少なくなると、子宮内膜が成熟せず、受精卵が着床しづらくなります。
子宮内膜増殖症
子宮内膜増殖症とは、子宮内膜が厚くなりすぎる症状です。
これは子宮内膜の細胞分裂が異常にすすむことが原因で、本来の子宮内膜とは異なる状態なため、受精卵が着床しづらくなります。
原因には、月経不順やホルモンのアンバランス、脂肪分の多い食生活や肥満などがあります。
子宮体がん
子宮体がんは、子宮内膜にできる悪性の腫瘍です。
ごく初期のものなら掻爬術で子宮内膜をかき出し、抗がん剤などの化学療法やホルモン薬による治療を行いますが、進行期で発見された場合は、転移を防ぐために子宮を全摘出することが必要です。
妊娠は望めなくなりますが、命にかかわる病気なので適切な治療を行うことが大切です。
着床障害の検査は病院の着床障害外来や不妊専門クリニックで受けることができます。