白血病幹細胞に有効な化合物を発見!
こんにちは。
今日、4月22日は語呂あわせから「良い夫婦の日」です。
先週末から寒い日が続いていますので、今日は会話がはずむ暖かい鍋を囲みながら夫婦でお食事をしてみては如何でしょうか?
さて、今日は理化学研究所が白血病幹細胞を死滅させる化合物を作成したニュースをお知らせ致します。
白血病再発の主原因「白血病幹細胞」を標的とした低分子化合物を同定
-急性骨髄性白血病に対する生体内での効果をマウスで確認-
理化学研究所(野依良治理事長)は、ヒトの白血病状態を再現した白血病ヒト化マウスを用いて、従来の抗がん剤が効きにくい白血病幹細胞を含め、ヒト白血病細胞をほぼ死滅させることができる低分子化合物を同定しました。
白血病の再発克服・根治を目指す新たな治療薬として期待できます。
これは、理研免疫・アレルギー科学総合研究センター(谷口克センター長:現 統合生命医科学研究センター 小安 重夫センター長代行)ヒト疾患モデル研究グループの石川文彦グループディレクター、齊藤頼子上級研究員と、創薬・医療技術基盤プログラム(後藤俊男プログラムディレクター)、生命分子システム基盤研究領域(横山茂之領域長、現 横山構造生物学研究室 上席研究員)、国家公務員共済組合連合会虎の門病院血液科(谷口修一部長)との共同研究グループによる成果です。
成人の血液がんである急性骨髄性白血病は、原因となる遺伝子異常によっては再発率が高い血液がんです。
このため、再発を防ぎ、根治へと導く治療法の開発が強く望まれています。
これまでに研究グループは、白血病再発の主原因となる白血病幹細胞を同定し、どこに残存するか、なぜ再発が起きるのか―などを明らかにするとともに、白血病幹細胞に発現し治療標的となりうる候補分子を同定してきました。
今回研究グループは、同定した候補分子の中から、HCKと呼ばれるリン酸化酵素(キナーゼ)を標的に選び、HCKの酵素活性を最も強く阻害する低分子化合物「RK-20449」を数万の化合物の中から同定しました。
RK-20449は、試験管内で患者由来の白血病幹細胞を低濃度で死滅させただけでなく、病態を再現した白血病ヒト化マウスに単剤投与しても白血病幹細胞に対する有効性を示しました。
特に、Flt3という遺伝子に異常を持ち、従来の抗がん剤に抵抗性を示す悪性度の高い白血病症例では、数週間、毎日投与するとマウスの末梢血から全てのヒト白血病細胞がなくなり、2カ月後には、骨髄にある白血病幹細胞と白血病細胞のほぼ全てを死滅させることができました。
この成果は、全ての症例ではないものの、急性骨髄性白血病の中でも最も予後不良な症例に対して、幹細胞レベルで白血病細胞を根絶できる新しい治療薬として開発されることが期待できます。
白血病の治療により不妊になられた方は少なくありません。
この化合物が実用化となり、患者の体に負担が少ない治療法となることを期待いたします。