妊活セミナーで男性不妊の体験を披露、ダイアモンド☆ユカイさん
おはようございます!
今日は、不妊治療の無精子症を公表して話題になったダイアモンド☆ユカイさんが妊活セミナーで披露した体験談をご紹介します。
仕事が忙しく、妊娠や出産を先送りにしがちなアラサー世代に向けて開かれた「アラサーのための妊活セミナー~『いつか』のために『いま』考えよう」。医師お二人からの、専門的ながらわかりやすいお話と共に、ロックシンガーダイアモンド☆ユカイさんの体験談が会場の共感を呼びました。男性不妊症と向き合い、パートナーと葛藤しながら3児を授かるまでのエピソードを、ユーモアを交えて語ったユカイさん。その採録を掲載します。
*** 不妊症の診断受け、「男」を否定された思い ***
――お子さんが欲しいと思われたきっかけは?
ユカイ:妻も俺も再婚で、子どもがいませんでした。妻も30代の後半にさしかかっていたし、俺も40半ばまで、自由奔放にやってきたんで、そろそろ腰を落ち着けてファミリーを持つべく結婚をしました。
――男性の検査はどのようなものですか?
ユカイ:血液検査と精液検査があり、精子の採取室に連れていかれました。狭い部屋でコップを渡され、「これに出してください」と。AVなどをみながら。恥ずかしかったですね。検査の結果を聞いたら、先生が「残念ながら精子はゼロです」というのです。目の前が真っ白になりました。妻は言葉を失っていました。
――そのときの衝撃は?
ユカイ:男性を否定された感じでした。100人にひとりの無精子症だと。妻に、「パートナーを変えて、結婚をしたほうがいいのでは? 」と言うと、「私たちの関係は変わらない」と慰めてくれましたが、ますます落ち込みました。それまで男らしさを売りにしてきたのに、俺はもう男じゃない、俺はだめなんだと思いました。それから、無精子症について、ネットで調べ始めました。
*** 追い詰められ授かった命 ためらい越え体験を本に ***
――どんなことがわかったのでしょうか?
ユカイ:無精子症の原因について、鼠径ヘルニアの手術が挙がっていました。俺は2歳、小学2年と、2回手術をしました。さらに、無精子症でも子どもを授かる可能性があるとわかりました。無精子症には、閉塞性と非閉塞性があります。精子は睾丸で作られて精管を通って運ばれるのですが、閉塞性は何らかの原因で精管がつまっている。ただ睾丸を切って、精子を取り出し人口受精もできる。非閉塞性は睾丸を切ってみて、精子がない場合もあるのですが、細胞の一部を取り出して精子を再生させる技術もあるそうです。俺の場合は、閉塞性とわかり、手術を受けました。睾丸を切るのは恐怖だったけど、女性は排卵誘発剤などで、卵子を作るのでもっとしんどい。不妊治療はお金もかかるし、肉体、精神的に大変です。僕たちは2回失敗し、ショックと疲れが押し寄せました。
――奥さんの心のケアはしていましたか?
ユカイ:仕方ないねとしか言えなかった。旅行にも出かけました。とはいえ、2人の間がぎくしゃくして、離婚寸前にもなったこともあります。俺は、「夫婦ふたりで生きていけばいい」と思い始めました。もうあきらめていたときに妻が、「北九州に行って、不妊治療の第一人者の先生に診てもらいたい」というのです。その決意を見て、もう一度手術を受けようと決めました。この病院では睾丸を切らずに、精子を特製のスポイトで吸い取るMESAという方法でした。
――そして、最初のお子さん(女児)が誕生しました。
ユカイ:奇跡のようでした。顕微授精という方法で授かったので、体が弱いのではないかと心配しましたが、いたって健康でワイルドなぐらいです。そのあとに授かった双子の男の子もとても元気なので、気にすることはなかったですね。
――告白するには勇気が必要だったと思いますが、どんな思いがあったのですか?
ユカイ:こうゆう経験が本に出ていなかったので、本にしたらどうかとずっと考えていたのですが、不妊治療は過酷な闘い。授からなかった人生もある。いろんな人の気持ちや、子どもが大きくなったときにどう思うかを考え、ためらいました。そんなとき、東日本大震災が起き、命の尊さを考えました。がれきの中から産まれた子どものニュースを見て、勇気を出して本にしようと思いました。
――みなさんに伝えたいメッセージはありますか?
ユカイ:ふたりが力を合わせて取り組むのが不妊治療。悔いの残らないようにして欲しいです。一番大切なのはパートナーとの関係だと思います。男性はまずは進んで検査を受けてほしい。女性だけががんばっても男性が非協力的だと、限られた時間を無駄にしてチャンスを失うこともある。女性をうまく支えてください。
ユカイさんの言うとおり、不妊治療は夫婦で取り組むもの。
女性が妊娠できる期間を無駄にしないよう、夫婦でよく相談しながら、協力しあって治療を進めたいものですね。