抗生物質が効かない?!多剤耐性菌アシネトバクター・バウマニ
おはようございます!
週末も猛暑続きで暑かったですねー。昨日は京都で39.9度!という観測史上最高記録がでたとのこと、9月と言えども、まだまだ熱中症に注意が必要な暑さが続きそうですね。
さて、このところ、抗生物質が効かない多剤耐性菌の院内感染が取り沙汰されています。
帝京大病院:多剤耐性菌に46人が院内感染 9人が死亡か
帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)は3日、複数の抗生剤が効きにくい多剤耐性の細菌アシネトバクターによる院内感染が起き、1日までに46人が感染したと発表した。ほぼ全員が血液や腎臓などに重い病気をもっていた。27人が亡くなり、このうち9人は感染と死亡との因果関係を否定できないという。厚生労働省によると、この菌による院内感染では過去最大の規模になるという。
感染したほとんどの患者の菌は特徴が似ていることから、ほぼ院内感染によるものとみられる。35~92歳の男性27人、女性19人。60代以上が7割を超える。血液や循環器に重い病気を患って免疫力が低下している人が多い。病院の調査では、9人のほか、12人は持病などが原因で死亡。残り6人は因果関係が不明だという。
病院の説明によると、4月から5月に、内科系病棟で約10人の患者から菌が検出された。病院は、感染者を個室で管理し、病棟を一時閉鎖。部局をまたがるスタッフでつくる感染制御委員会も事態を把握し調査を始めた。
カルテや保管していた検体を調べ直したところ、昨年8月から今年9月までに46人がアシネトバクターに感染していたことがわかった。患者が確認されたのは11カ所。
最初の死亡者は昨年10月。感染源は特定できていないが、複数のルートがある可能性が認められるという。
感染患者のうち近くの医療機関に2人が転院。1人には院内感染の事実は伏せていたという。
実は2月ごろ、院内で散発的に患者から菌が検出され、病院の感染制御部が「院内感染の可能性に注意を」という警告文書を出したという。しかし、各部からは菌検出の報告はあがらず、病院は集団感染の疑いがあると認識しなかった。一部の抗生剤は効いたため、担当医が報告をあげなかったことが、5月以降の調査でわかった。
厚生労働省は都道府県に対し、多剤耐性アシネトバクターが病院内で発生した場合に報告を求める通知を昨年1月に出しているが今回、報告は今月2日だ。
報告の遅れについて森田茂穂院長は「当時は患者への治療に百%専念することを念頭に置いていた」と話した。
舘田(たてだ)一博・東邦大医学部准教授(微生物・感染症学)は「欧米では院内感染対策上、この菌に注意が必要とされており日本でも怖さが知られている。なぜここまで広がってしまったのか」と指摘する。
アシネトバクターの院内感染では、2008年秋~09年1月に福岡大病院(福岡市)で26人が感染し4人が死亡した例がある。このときは、韓国で手術を受けた患者から菌が検出され、ここから感染が広がった可能性がある。
アシネトバクター・バウマニとは、最近10年で世界的に急増している、複数の薬剤が効かない細菌の一種です。アシネトバクター菌自体は水や土壌の中などに存在しており、健康な人は感染しても発症しないものですが、免疫力が低下した人が感染すると、肺炎や敗血症で死亡することがあります。
院内での感染となると、患者には避けようがありません。国の主導で、早急に対策を取ってほしいものですね。