ターナー症候群(Turner syndrome)は、染色体異常のひとつです。
X染色体(性染色体)の2個のうち1個が欠損、または一部が欠失したり、染色体構成の正常な細胞と異常な細胞が混在している染色体異常症です。
この疾患は、女性にだけ起こる先天性疾患であり、女児2000人に1人の割合で発生すると言われています。
この症候群の現れ方は多様であり、染色体の異常だけで外見的には全く普通の女性と変化が無い場合もあります。
ターナー症候群の主な症状としては、低身長、卵巣機能不全による第二次性徴および月経の異常などが挙げられます。
中学生くらいまでは、低身長以外、あまり気になる症状がない女性も多くいます。
性腺機能不全を主病態とするため、卵巣機能不全による不妊が多く見られます。
この疾患では、卵巣組織が認められず、卵巣は索状痕跡様(ひも状)になっています。
卵巣から分泌される女性ホルモンが欠如しており、第二次性徴が訪れず、月経や乳房の発育が起こらないケースが多く見られます。
しかし症状には個人差が大きく、中学生になっても性の発達がみられない女性が多い一方、ほぼ正常に二次性徴が現れて初潮が来る女性もいます。
また、合併症として、後天的に治療を要する症状が出てくる場合もあります。
糖尿病、骨粗鬆症、中耳炎、難聴などがその例で、思春期以降に起こることがあります。
その他にも、大動脈二尖弁などの心・血管系障害、馬蹄腎などの腎・腎血管系の奇形、甲状腺機能障害、大動脈縮窄症や僧帽弁逸脱が認められることも多くあります。
ターナー症候群の診断は、新生児期の四肢の浮腫、先天性心疾患、小児期の低身長、思春期の無月経などが契機となって行われます。
中学生・高校生になって無月経であり、かつ低身長である場合は、ターナー症候群の可能性があります。
結婚してから不妊症として発覚することもあります。
ターナー症候群における低身長に対しては、成長ホルモンの補充療法が有効です。
一方、卵巣機能不全に対しては、健常女性の思春期来発年齢を指標にして、女性ホルモンの補充療法を開始、その後女性ホルモン補充療法を行うのが一般的な治療です。
しかし、卵巣機能不全のため自己の卵子で妊娠することはできませんが、ターナー症候群の患者が妊娠を望む場合には、第三者からの卵子提供が有効な方法です。
ターナー症候群の日本人女性が成長ホルモン治療を受けなかった場合、最終身長が平均139センチと言われています。
低身長だけではなく、心疾患等の症状がでることもあるため、兆候がある場合には染色体検査を早い段階で受けることが早期発見に繋がります。
染色体検査でターナー症候群であることが確定すれば、そのすべての人に成長ホルモン治療が公費でできます。
早期発見、早期治療を行うことで、極端な低身長を防ぎ、最終身長を平均身長に近付ける上で効果が期待できます。