出生前診断の一つとして、羊水検査があります。
赤ちゃんは、母親のお腹の中で生まれるまで約40週程度を過ごしますが、お腹の中は羊水で満たされています。
羊水とは、羊膜上皮から分泌され、羊膜腔を満たす液体です。
赤ちゃんが羊水の中で育つ課程で、赤ちゃんの細胞が剥がれ落ちたものが羊水の中に浮遊しますが、羊水検査では、この羊水の中に浮遊した赤ちゃんの細胞を調べます。
羊水検査は、どのような目的で、どのようなやり方で行われるものなのでしょうか?
羊水検査の目的
染色体の数の異常、構造の異常、遺伝子の異常の診断を行うことが主な目的です。
具体的にわかる疾患は、以下のようなものがあります。
- ダウン症候群(21トリソミー)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
- ターナー症候群(Xモノソミー)
- 重複X女性
- クラインフェルター症候群
- YY症候群
羊水検査の実施方法
超音波で赤ちゃんの位置を確認しながら、お腹の上から針を刺し、子宮の中から20ml程度の羊水を採取します(羊水穿刺)。
抜き取った羊水の中にある赤ちゃんの細胞を培養し、染色体の異常があるかを調べます。
検査自体は15分程度で終わるものです。
穿刺後2~3時間程度様子を見て、問題が無ければ、当日中に帰宅できます。
受診時期
妊娠15週~18週
検査に要する期間
約2週間
羊水検査の対象者
希望をすれば誰でも受けられますが、通常は、まず血清マーカーテストを受け、胎児が異常を持っている確率が高ければ、確定診断として羊水検査を用いるケースが多いようです。
羊水検査のリスク
- 流産(300回に1回程度で流産あるいは死産になる可能性があると言われています)
- 出血、感染、腹痛、羊水の流出など
費用
自費診療で10~15万円程度。
羊水穿刺の検査精度
羊水検査では、胎児の染色体の本数が2本か(正常)3本か(異常)、形が正常か、といったことが分かります。
しかし、必ずしもすべての染色体異常が分かるわけではありません。
擬陽性率は0.1-0.6%、偽陰性率は0.6%と言われています。
羊水検査では、胎児の細胞の染色体を分析するので、確定的な診断が可能ですが、出血、感染、流産などのリスクもあります。
検査を希望される場合は、そういったリスクも踏まえ、本当に必要かどうかを医師とよく相談されることをお勧め致します。