卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
こんにちは。
一雨ごとに緑が深くなる季節がやってきましたね。
今日は、不妊治療中に起こりうる症状の一つ、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)についてお話します。
卵巣過剰刺激症候群 はその英語表記:Ovarian hyperstimulation syndromeからOHSSと略記されます。不妊治療中に排卵誘発剤を注射すると、人によっては薬に過剰に反応してしまい、卵巣が腫れ、腹部や胸に水がたまり(腹水・胸水)、さらには電解質異常や、血栓を併発する場合もあります。これがOHSSです。 ただ、OHSSが起きるのは1割から2割程度の人であり、頻発するものではありません。
多くの場合、排卵誘発剤の注射開始から10日以内にその症状が現れます。症状は軽いものから重度のものまであり、悪化することもあれば、時とともに良くなっていくこともあります。月経がくれば良くなりますが、妊娠することで悪化します。ただ、重度のOHSSを発症する人は非常に稀です。
軽度から中程度のOHSSでは次のような症状があります:軽い腹部の痛み、腹部の膨満感もしくはウエストサイズが急に増える、吐き気、嘔吐、下痢、卵巣付近の痛み等です。
重くなってくると次のような症状がでてきます:急激な体重増加、激しい腹痛、継続する吐き気と嘔吐、尿量の減少、息切れ、腹部膨満、目眩等です。ほんの1から2%の人が腹水、胸水、電解質異常、血栓症、腎機能障害、卵巣からの出血等があり、極まれにですが死に至ることもあります。
OHSSになりやすい人の特徴は、卵胞数が多い、若い年齢層、体重が軽い人、OHSSの既往歴のある人、多嚢胞性卵巣症候群の人などです。
OHSSは急激に発症するものではなく、排卵誘発中に徐々に卵巣が腫れてきて、放置することで重症化します。そのため医師は超音波検査等をこない排卵誘発中の卵巣の状態をモニターしていきます。
もしも、排卵誘発中にOHSSを疑うような症状が現れた場合は、例え症状は軽くとも、直ちに医師に相談してください。 不妊治療中は、様々な薬の投薬があります。日頃から自分の体重や、体型、体調などの変化にも気を配っておくと良いですね。