子宮内胎児発育遅延(IUGR)ってなに?

こんにちは!
すっきりしないお天気が続きますね。今の時期はお散歩には不向きですが、昨日近くの公園で紫陽花が咲いているのを見ました。雨つづきは憂鬱な気分になりますが、あざやかな紫陽花の青にしばし見とれました。この季節ならではの楽しみですね。

さて、今日は、子宮内胎児発育遅延(IUGR:intrauterine growth retardation)についてお伝えします。

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胎児は、在胎期間に相応して発育しますが、なんらかの原因で子宮内での胎児の発育が抑制または停止し、正常範囲を逸脱して発育が小さい場合、-1.5SD(注)以下のものを子宮内胎児発育遅延(IUGR)といいます。
IUGRは、全妊娠の3~ 7%に認められるといわれています。

IUGRは大きくsymmetrical IUGR、asymmetrical IUGRの2つに分類されます。
最近ではその中間型のcombined IUGRも含め3つに分類されることもありますが、いくつかの原因が絡み合って発症することも多く、はっきりとした原因がわからないことが多々あります。

1、symmetrical IUGR:
身長・頭部のサイズも小さく全体としてバランスのとれた低体重児。先天奇形、先天性感染症(TORCH症候群)、染色体異常、胎児性アルコール中毒症、薬物中毒、喫煙、被爆の影響等が考えられます。また、遺伝的なIUGRもこのタイプになります。

2、asymmetrical IUGR:
妊娠後期に発症し、頭部の大きさの割に体重の少ない(脂肪の蓄積が少ない)やせ形の低体重児。IUGRの約70%を占めます。胎盤機能不全、妊娠中毒症、慢性高血圧、腎疾患、心疾患、膠原病、Graves病,糖尿病などの母体合併症、多胎妊娠等が考えられます。IUGRが慢性的な胎盤の栄養不良によるものであった場合、出生後十分な栄養を与えられれば著しい成長を示し追いついていきます。

3、combined IUGR:

妊娠中期に発症する。早期発症型妊娠中毒症、薬剤、喫煙、アルコールなどが原因と考えられます。IUGRの約5~10%を占めるといわれています。

●症状
子宮底が妊娠週数に比し著しく低いほか、特別な自覚症状はありません。

●診断
1)妊娠週数の確定(妊娠初期に週数を確認すること)
2)超音波による胎児計測‥‥BPD、AC、FLなどから推定体重を求める。

●治療
1)入院・安静:安静臥床により子宮血流量は10%以上の改善が期待される.
2)母体の原因疾患の治療・管理:妊娠中毒症、糖尿病、腎疾患、心疾患などIUGRの原因となる原疾患を積極的に治療する。
3)胎児モニタリング:
4)胎内治療:栄養補給として母体にマルトース輸液、アミノ酸輸液などを投与する治療もあるが、その治療効果に関しては疑問視する意見もある。
その他、ヘパリン治療、AT・補充療法、酸素供給などが試みられている。

(注)SDとは標準偏差 (standard deviation)のことです。あるデータのばらつきの程度を表します。この場合、こどもの身長のばらつきの程度を表します。
-1SD~1SDには、全データの約68%が含まれ、-2SD~2SDには全データの約95%が含まれると考えて下さい。すなわち、-2SD~2SDの間に全体の約95%の子どもの身長が入ることより、「-2SD」以下の身長を低身長と定義しています。)

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