WHOが臓器移植のための渡航自粛決議採択
おはようございます!
週末は、久しぶりの雨模様で、家でゆっくり過ごされた方も多いのではないでしょうか。夏のような気温になる日も徐々に増えてきましたが、雨が降ると気温も下がり、体調を崩しやすくなります。どうかお気をつけくださいね!
さて、今日は臓器移植に関するニュースについて。
WHOが、海外に渡航して臓器の提供を受けることを自粛するよう各国に求める新たな指針を承認しました。
臓器の売買を禁止し、移植を受けるための渡航を自粛するよう促す決議案が21日、ジュネーブで開かれている世界保健機関(WHO)の総会で採択された。法的拘束力はないが、昨年7月に改正臓器移植法が成立した日本を含め加盟国の医療政策に影響を与えそうだ。
加盟国に対し、臓器などの売買や渡航移植によって経済的利益を得ることに反対するよう要請している。移植される臓器などに、世界共通の通し番号をつけることで不適切な移植に歯止めをかける仕組みづくりも求めた。
また、同時に総会で承認されたWHOの「人の細胞、組織、臓器の移植に関する指針」は11項目。生きている人から臓器を摘出する生体移植について規制を求めるとともに、未成年は原則として臓器摘出の対象から除外すると定めた。臓器売買の禁止を明記し、売買を促すような広告も禁じるべきだとしている。
決議案は昨年の総会で採択される予定だったが、新型の豚インフルエンザへの対応が優先され、今年に先送りされていた。渡航移植を規制する内容が盛り込まれると予想されたため、日本国内で移植の機会を増やす方向で法改正をすべきだとの主張を後押しした。
当ブロクでも度々お伝えしてきましたが、臓器移植に関しては、日本では、今年7月に改正臓器移植法が施行され、15歳未満の子どもからの臓器の提供を認めないなどの条件が大幅に緩和されること になっています。しかし、それでも、国内では容易に治療を受けられない患者が海外の病院での移植手術を希望するケースは今後も出てくるものと予想されており、今回、WHOが打ち出した指針によって、こうした日本人の患者が海外の病院で受け入れを制限されるなどの影響がでることも懸念されます。
国内での法整備は歓迎すべきことですが、実際に患者が法改正の恩恵を受けられるようになるには、まだまだ時間がかかることが予想されます。臓器売買を禁ずるWHOの決議はもっともなことですが、これまで海外でしか行えなかったようなケースを国内で行えるように医療体制を整えなければ、今回の決議はそうした患者が唯一助かる道を奪う結果にもなりかねません。7月の法改正に合わせて、現場レベルでの医療の対応も整えられることが急務なのではないでしょうか。