自然妊娠に近い状態をつくる、胚盤胞移植とは?
おはようございます!
昨日は、卒業式帰りらしき袴姿の若い女性を何人か見かけました。
春は卒業の季節、また始まりの季節です。毎年この時期になると、入学式や卒業式の折に感じた、新しい生活への期待と不安を思い出します。
私が見かけた袴姿の女性たちにとっても、期待と不安の入り混じった季節なのかも知れませんね。
さて今日は、胚盤胞移植法についてお伝えします。
多くの施設で行われている一般的な体外受精は、体外で受精させた受精卵を2~3日培養後、子宮に戻す方法です。しかし、自然妊娠の場合、受精した卵子は、受精後卵管内で5~6日間かけて分割を繰り返し、着床の準備を整えます。この着床の準備が整った状態を胚盤胞と呼びます。自然妊娠の場合、この胚盤胞の状態まで育った胚が、子宮内に戻ってきて子宮内膜に着床します。この状態まで培養してから胚を移植することを、「胚盤胞移植」と言います。胚盤胞移植では、より自然な妊娠に近い状態で、胚を子宮内に戻す事が出来ることになります。2~3日培養後に子宮に戻す方法では、自然な妊娠で子宮内に胚が戻ってくるより早いタイミングで、胚は子宮内に戻されてしまいます。
胚盤胞移植のメリットは、確実に胚盤胞まで発育した状態の胚を選択し、移植できることです。2~3日で子宮に戻す場合、2~3日目で良好な胚であっても、それを移植したあとにそれが胚盤胞までに育つかは分かりません。
一方で、胚盤胞移植にはデメリットもあります。胚の質が悪い場合や、数が少なかった場合、2~3日目では移植可能な胚だったにもかかわらず、胚盤胞まで到達せずに胚移植がキャンセルになる可能性があります。
胚盤胞移植は現在多くの不妊治療病院で採用されている方法で、有効性も認められていますが、やはりメリット・デメリットはあります。チャレンジされる場合は医師とよく相談したうえでご検討されてみてはいかがでしょうか。