出自を知る権利
急に梅雨がカムバックし、早々に明け暑い日々が続こうとしておりますが、皆様元気にお過ごしでしょうか?
食欲が減退しやすい時期ですが、健康ありきの人生ですので、しっかり食べて・飲んで、夏を乗り越えていきましょう!
さて今回は、卵子提供・代理出産を検討される方でしたら一度は耳にしたことがあるであろう「出自を知る権利」についてお話していきたいと思います。
そもそも「出自を知る権利」とは
そもそも「出自を知る権利」という言葉の意味から考えていきたいと思います。
デジタル大辞泉では、「非配偶者間人工授精による生殖補助医療によって生まれた子が、のちに遺伝上の親や代理母が誰であるかという、自らの出自について知る権利。」と定められております。日本大百科全書では「人が自分がどのように生まれてきたか(出自)を知る権利。」となっております。
「生殖補助医療により産まれた子どものための権利」ということですね。
「遺伝的繋がりを知りたい」という欲求は、当事者でないと本当に理解することは難しいのかもしれません。ただ、生殖補助医療を利用して子どもを持つことを考えていく上で、我々の場合はそこに携わる人間として、しっかりと考えていく必要があると思います。
世論として議論
「出自を知る権利は確保していくべきだし、確保していていく方向で動きましょう。諸々が定まっていない状態で、卵子提供も代理出産もしてはいけないのではないでしょうか。」というのが、日本の現状でございます。ドナーさんの情報を開示する、生殖補助医療で産まれた子どもたちがその情報にアクセスできるようにする、というのはいいことであると考えます。ただ、システムを構築するだけで解決される問題ではないことも事実です。ドナーさんの個人情報保護もありますし、情報を得た当事者たちの心のケアも必要になります。正解・不正解がないからこそ、生殖補助医療に関係ない人たちも巻き込んで、世論として議論し、多方面からの意見を盛り込んだシステムの構築ができたらいいな、なんて個人的には思います。
ご家族で話し合っていく
法整備はひとまず任せておくこととしまして。実際にお子さんに、何をどのようにいつ伝えていくか、というところをご家族で話し合っていく必要があるのかなと。
人にとって初めての人間関係は親子関係ですから、そこが信頼関係の基盤となっていきます。卵子提供や代理出産を告知するもしないもご家族で決めることですが、お子さんとご両親の信頼関係のみならず、その子の一生の人間関係に影響を与えることを考慮していかないといけないと考えます。また、子どもは親の表情や言動をよーーーく観察していますから、卵子提供・代理出産を隠し通せない可能性も念頭に置いて検討していく必要があると思います。
何をどのようにいつ伝えるか
何をどのようにいつ伝えるかにつきましても、ご家族の考え、お子さんの個人差もありますから、「こうすべき。こうしたら良い。」というマニュアルはございません。ただ、専門家はなるべく早いうち(言葉を理解し始めた頃)から伝えることを推奨しております。説明が遅くなればなるほど、アイデンティティーの喪失に繫がりやすいからです。伝える内容としては下記がございます。
・世界に目を向ければ、色々な家族の形がある。
・赤ちゃんを持つためには、卵子、精子、子宮の三つが必要。
・この三つが揃わなかったから、親切な人に助けてもらった。
・とにかくあなたを愛しているし、あなたに出会えたのだから助けを借りて良かったと思っている。
「自分は愛されている」と子どもが思えることが一番大切だと、私は思います。また、卵子提供・代理出産は子どもの「自分史」の一部に過ぎません。それだけで自我が形成される訳ではないのですから、大ごとにすることなく、お子さんの理解力、知りたいことに合わせて、少しずつ情報をあげられたらいいのかなと。
もしご夫妻では決めきれないということでしたら、不妊・心理カウンセラーに相談することもいいと思います。ご夫妻にとっては大きな決断の一つですから、二人が納得できる告知の方法を見つけられるといいですね。
<参照HP>
https://www.simplifyeggbank.com/blog/how-to-talk-to-children-about-egg-donation
卵子提供プログラム・代理出産プログラム・着床前診断プログラム・受精卵養子縁組プログラム(使用予定のない受精卵を譲り受けるプログラム)についてのお問合せは、メディブリッジまでお気軽にお問い合わせください。